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信頼される動物病院へ~顧客心理をふまえたケーススタディ~

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信頼される動物病院へ~顧客心理をふまえたケーススタディ~

『ベッツワンプレス 2013冬号(Vol.37)』 掲載分

信頼される動物病院へ~顧客心理をふまえたケーススタディ~
株式会社マンズ・リソース 代表取締役 星野 惠子

 前号までは、誰にでも感じられる「顧客心理」をひとつずつ解説しましたが、その後の仕事の中で、「そう、そう!」と思えることはありましたか? 少しでも覚えておいて事例を記憶に残すと結構整理し易いものですから、今後も意識して頂くときっとお役に立つと思います。さて、今回は顧客心理をふまえて、ケーススタディをしながら整理したいと思います。

 動物病院で仕事をしていると様々な患者様がいらっしゃり、様々な要望をお聴きしますね。そんな中で、どうしてもすぐにはご要望に沿えないケースも発生すると思いますし、こちらから注意しなければならないケースもまれにありますが、みなさんはどのように対処していますか? 例えば、以下のようなケースはどうでしょう?

ケーススタディ)要望をいったんお断りするケース(電話)

家族:「避妊手術のことで、先生と直接お話ししたいのですが・・・」
受付:「どのようなことですか?」
家族:「少しややこしいので、直接先生にお話ししたいのです」
受付:「院長は手術中で、今すぐにはお話しできません。どのようなことですか?」

こういうケース、よく遭遇しますね このあとどのように展開するかは応対次第ということになりますが、たったこれだけのやり取りにも顧客心理をふまえた話し方を加えることができます。少し復習をしてみます。前号までにご紹介した顧客心理は以下の7つでした。

  1. (1)歓迎期待の心理
  2. (2)独占したい心理
  3. (3)公平に扱って欲しい心理
  4. (4)自尊の心理・恥をかきたくない心理
  5. (5)真似をしたい心理
  6. (6)自分本位の心理
  7. (7)損をしたくない心理

 実は、これらを大きく分けると、私たちのこんな心理を満たすことになります。
I:親のような心
II:冷静な大人の心
III:子どものような心
図式化すると、こんな感じです。

人の心にはこれら3つの場所があり、それぞれの心が連携しながらものごとを感じ、考え、行動するといわれています。顧客心理も上記のように分類はしましたが、実は3つの心の全てを横断的に使いながら、みなさんの応対を感じ取っています。では、これらに対して、どんな対応をすることが良いのでしょうか? 以下の図のように考えてみて下さい。

ひとつのやりとりの中に、これら3つの心を満たすような応対があると、顧客心理は満たされることが多くなります。3つにまんべんなく対応することです。つまり、「尊重と陳謝」+「情報や対処」+「共感」です。「親のような心」には、「尊重・陳謝」と書きましたが、これはプライドを傷つけないような対処、筋道の通った説明があることが必要であるという意味です。陳謝はこちらのミスの場合ももちろんですが、クッション言葉としての「申し訳ございません」も含みます。「大人の心」には、相手の損にならないような対処や情報、最後に理由を分かり易く加える場合もあります。「子どものような心」には、心配したり、悲しんだりする感情の部分に共感的な姿勢が必要です。クレーム対応の場合も、難しいお断りのケースでも、同じように必要です。 では、先ほどのケースを見てみましょう。

ケーススタディ)

家族:「××の避妊手術のことで、先生と直接お話ししたいのですが・・・」
受付:「はい、獣医師の○○に、××ちゃんの避妊手術のことでお話しされたいということですね。」(共感的な口調で)
家族:「はい、そうなんですよ」
受付:「△△様、大変申し訳ございません・・実は今、○○は手術に入っておりまして、すぐにはお話しできないのですが、私でよろしければ大体の内容を獣医師に伝えましょうか?」 (申し訳ないという口調で)
家族:「少しややこしいので、直接先生にお話ししたいのです」
受付:「はい、直接ということですね。わかりました。では、お待たせして申し訳ございませんが、直接お話しいただける一番早いお時間にお電話させていただくということでもよろしいですか? ××ちゃんの体調で今特に変わったことはございませんか?」
家族:「いえ、特に変わったことはありません。いつごろお電話いただけますか?」

・・・・と続きます。

対処自体と言葉選びは丁寧な例を入れていますが、相手との関係性で多少変わると思います。ポイントは、言葉の数と口調です。紙面では口調までお伝えできませんが、重要な要素として、「子どもの心」を満たすことが忘れられがちであるということをお伝えしたかったのです。どんな年齢の人間でも、子どものような心を持っています。それを「なんで分からないのかな」と思ってしまうようなケースもあるかもしれませんが、顧客心理というものは、本来「自分本位」なものです。それは自分自身の中にもあります。これらを理解し、共感の口調や表情、態度で臨むことで、難しいお断りやクレームに対しても、理解していただけるケースは多くなります。

「顧客心理」を理解し、皆さまご自身もストレスを減らし、気持ちの良い対応が今以上に増えますように。お仕事、頑張ってください。

ペピイ主催「接遇スキルアップ講座」の様子。

著者紹介

星野 惠子
星野 惠子
● 株式会社マンズ・リソース 代表取締役
● 元日本航空国際線客室乗務員 ● 元JALアカデミー接遇インストラクター
● 日本ベビーコーチング協会理事 ● KMC認定心理カウンセラー
これまで病院・医療専門学校・福祉施設・動物病院を含め、600団体以上において接遇研修・心理セミナーを担当。
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