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同行避難は、ふだんのコミュニケーションがキーになる。わんちゃん編

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同行避難は、ふだんのコミュニケーションがキーになる。わんちゃん編

ドクターズアドバイスペピイ2012春夏号

同行避難は、ふだんのコミュニケーションがキーになる。わんちゃん編

同行避難は、ふだんのコミュニケーションがキーになる。

 2011年3月11日、東日本大震災発生時、津波の被害を受けた地域では、とにかく逃げるしかなかったそうです。
うちの子と一緒に逃げることが生きる励みになった方もいれば、助けるために亡くなった方も・・・。
「犬も猫も家族」という絆を感じるとともに、そうした現実が残念でなりません。
そこで、自らも震災を体験し、現在は仮設住宅に住む飼い主さんをケアされている阿部容子先生と「今からできること」について考えてみました。

宮城県石巻市「あべ動物病院」
臨床検査技師、
JAHA認定 家庭犬のしつけインストラクター
阿部容子 先生

被災ペットの救護活動に参加。
その後、仮設住宅で暮らす飼い主さんのしつけの悩みを中心にケアするannproject(アンプロジェクト)を発足。

とっさの場面、同行避難するために

-災害発生時に落ち着いて避難するために、やっておくべきことはどんなことでしょうか?
 今回の地震では、びっくりしてドアを開けた途端に飛び出したり、津波の中ではぐれてしまうことが多くありました。そんな時のために、一瞬離れてしまっても呼べばすぐ戻って来られる子に育てておくことが大切。『オイデと言って、来てくれたらほめる』ことを日常の中でしておくと安心です。
 また、愛犬が体、耳、尻尾など、どこを触られても嫌がらないことも重要です。実際に、津波で流されそうな子の耳や尻尾を掴んで助けた人もいらっしゃいました。『飼い主さんに触られることが幸せ』と愛犬が感じられるように接してあげましょう。他にも予備のリードをクレートの取っ手に結んでおけば夜でもすぐに見つけられますし、キャリーバッグや抱っこ紐、風呂敷があれば両手を自由にできて逃げやすいのでおすすめです。

避難所・仮設住宅での共同生活に備えて

-先生が避難所や仮設住宅を回られている中で、犬についてどんな悩みをお聞きになりましたか?
 悩みゼロという訳ではなかったのですが、犬がいることで避難所の雰囲気が明るくなり、動物が苦手な方が、逆に好きになるなんてことも!
 しかし、仮設住宅では「吠える」という悩みが・・・。実は、仮設住宅のケアを始めるきっかけは「隣とつながる壁が薄いので吠え声が迷惑になってしまうのですが、室内で飼いたいんです」というご相談からでした。

-そんな時、飼い主さんはどうすれば?
 「吠えちゃダメでしょ!」の一言で、さらに興奮することも。吠える状況を観察し、その状況を作らないようにしてあげ、吠えなかった時はしっかりとほめて良い時とダメな時の差をわかりやすくしてあげるといいですね。

-避難所や仮設住宅など、慣れない環境でふだん通り生活するための良いトレーニングはありますか?
 やはり、クレートトレーニングです。「クレートの中が安心できる場所」と思える犬に育てば、災害に遭って場所や状況が変わっても安心して暮らせます。避難所のダンボールもクレート代わりになるんですよ。トイレトレーニングもできるといいですね。そして何よりも、「飼い主さんといることが安心」と感じられることが必要です。

-色んなことをしておきたいですが、愛犬に無理はさせないであげたいですね。
 もちろんです。たくさんお話しましたが、一番大切なのは「犬を家族の一員から社会の一員に育てる」意識を飼い主さんに持ってもらうことだと思います。
 例えば犬を苦手に思うご近所さんにおやつを与えてもらうなどして、「飼い主さん以外の人とも仲良くできる」といった最低限の社会性を愛犬が見につけていれば、犬を苦手に思う人の見方も変わると思うんです。普段からそういうコミュニケーションを取っていれば、万が一の時に愛犬のことも含めて、きっと助け合えるはず。妥協点を探りながら、犬猫がみんなの愛される環境を私達から目指していきましょう。

1.東北愛犬専門学院の先生達が
ボランティアでシャンプーを
してくれています。
2.避難所も和やかな雰囲気に。 3.仮設支援活動のきっかけ
となったポンタくん。
クレートトレーニングもマスター。
4.ポンタくんから犬小屋を
もらったことをきっかけに
友達になったシェパードの
ケリーくん。
5.ダンボールのクレートも大好きに! 6.支援活動は心の支えにもなっています。
7.阿部先生のご自宅は1階まで浸水しました。 8.仮設住宅は軒先が似ているので、
シールを目印に。
非常時に必要な持ち物
使いなれたもので、必要最低限に

フード(3日分)、水(1リットル)
ペットシーツ、ビニル袋
新聞紙(暖取り用)、ウェットティッシュ
ふろしき(抱っこ紐にできて便利!毛の飛び散り防止にも)
簡易食器(できるだけ軽いもの)
犬の写真、迷子札、記録カード(持病を書いたもの)、常備薬

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中塚圭子 先生

JAHA認定 家庭犬のしつけインストラクター
中塚圭子 先生

神戸市動物管理センターでしつけを指導し、大阪ペピイ動物看護専門学校講師を務める。著書に「中塚流ニコニコしつけ読本」「犬の老いじたく」ほか。

「応援に行かなければ・・・」阪神淡路大震災の経験者として。
阪神大震災において「災害時にペットをどうするか」という問題と向き合った経験から、次の震災があった時は支援に行くと決めていました。そして縁あって、阿部先生の仮設住宅支援をお手伝いすることに。ご苦労の多い中、飼い主様達に「うちの子の相談ができてうれしい!」と笑顔を見せていただけたことは私にとっても喜びでした。仮設住宅で『犬猫が落ち着ける環境』を作るには犬猫の心情を感じる習慣が大切。これからに備えて、人と犬猫がもっと意思疎通できるよう、また、今も困っている被災地の皆様や犬猫達のために私もできることを続けていきます。