動物医療関係者のための通販サイト 【ペピイベット】PEPPYvet(旧 ベッツワン)

カテゴリから探す

カテゴリから探す

新規会員登録特典として今なら
1,000ポイントプレゼント中!

はじめての方へ

  1. 送料無料まであと ¥5,000(税込)

  • ペピイベット
  • 犬のからだセミナー 知能編 「賢い」といわれる犬、その実力は?

犬のからだセミナー 知能編 「賢い」といわれる犬、その実力は?

印刷用PDFを表示

犬のからだセミナー 知能編 「賢い」といわれる犬、その実力は?

ドクターズアドバイスペピイ2013春夏号

犬のからだセミナー 知能編 「賢い」といわれる犬、その実力は?

犬のからだセミナー 知能編 「賢い」といわれる犬、その実力は?

犬の知能って、どのぐらい?
人の2歳児程度の知能の持ち主

 犬は、人の言うことをどれぐらい理解しているのでしょうか。カナダの心理学者、スタンレー・コレン氏の研究によれば、ほとんどの犬は人の2歳児程度の知能をもち、165個の言葉を理解し、4から5まで数えられるとのこと。さらに、頭のいい犬種として知られるボーダーコリーやプードルでは、250の言葉や合図を理解し、簡単な計算もできるのだそうです。もちろん犬種差や個体差はあるでしょうが、その潜在能力はかなり高そうです。

犬種別「知能」ランキング

 コレン氏は、犬の知能について、犬種別のランキングを作成しています。それによれば、1位ボーダーコリー、2位プードル、3位ジャーマンシェパード、4位ゴールデン・レトリーバー。その他、人気犬種では49位ダックスフンド、67位チワワなど。ちなみに最下位は79位アフガン・ハウンド。
 ここでの知能とは、あくまで人の指示を理解し従う「作業・服従型」能力について。そのため牧羊犬や水鳥猟の回収犬たちが上位を占め、対して古い犬種ほど下位の傾向にあるようです。

  • 1位・ボーダーコリー

    牧羊犬の代表犬種・ボーダーコリー。
    運動・訓練性能が高く、
    ドッグスポーツ界でもスター。

  • 2位・プードル

    ぬいぐるみのように愛らしいプードル。
    泳ぎが得意で、
    元はカモ猟の回収犬として活躍。

脳の仕組みから見てみよう

脳の発達度合いを他の動物と比較すると・・・

 犬の特徴を「脳」から見てみましょう。500種に及ぶ哺乳類の脳を分析した最近のオックスフォード大学の研究によると、長い年月をかけて、最も脳が発達した種は猿、馬、イルカ、犬の順。これらの大きな脳をもつ種は、複雑な社会的行動を営んできたのが特徴で、犬が犬同士の交流で脳を刺激し合い、大きく発達させてきたのに対し、単独行動の猫の脳は犬のようには発達してこなかったようです。
 もっとも、脳の平均的な重さは64g、猫は25gですが、体重比では猫の方が重く、また大脳皮質のニューロンの数は犬の1.6億に対し、猫は3億。単純な優劣比較は難しそうです。

脳の司令塔「前頭葉」の比率は?

 人の脳が他の動物と最も違うのは、知的活動を支える脳の司令塔「前頭葉」の占める比率が大きいこと。人の場合、脳全体の29%ですが、犬は約7%、猫は約3.5%。前頭葉には、状況変化に臨機応変に対処する働きがありますが、引越しや家族の増減など、飼育環境の変化に対し、猫よりも犬の方が慣れやすいのは、脳の仕組みの違いかもしれませんね。

「イヌは、ヒトとのコミュニケーション上手な動物」

麻布大学 獣医学部伴侶動物学研究室 教授 菊水 健史

 「Man's Best Friend」といわれるように、イヌは3万年ほど前からヒトと共に歩みだした、地球最古の家畜です。
日本におけるイヌの飼育頭数は1000万頭を超え、実に世帯数の20%弱がイヌと共に生活していることになります。
なぜイヌがヒトとの生活にこれほどまでに深く関わるようになったのでしょうか、
それは言葉を用いないイヌとヒトとの間にある特殊なコミュニケーションかもしれません。
近年の認知、神経内分泌の研究によって、イヌとヒトとの間における生物学的な絆の根拠が明らかになってきました。

イヌのネオテニーという進化

遊んであげることで互いの愛着が促進。

 イヌにはたくさんの行動学的な特徴があります。オオカミらしい風貌のシベリアンハスキーでは、オオカミ様の攻撃性や服従行動が観察されますが、愛玩動物としての歴史の古いキャバリア・キングチャールズ・スパニエルではそのうち2つだけが認められます。
 興味深いことに、オオカミの発達と比較すると、オオカミで幼少期すぐに観察される行動は、多くの犬種で確認できますが、オオカミでも成長しないと発現しない行動になるとイヌではそのような行動を認めるのは稀となります。このことは、イヌがオオカミの性成熟過程で成長を止めること、つまりネオテニー(幼形成熟)を意味します。

 ネオテニーの主な特性は遊び行動です。イヌはいくつになっても遊びに飽きません。遊びの最中にはオピオイドと呼ばれる脳内麻薬が放出されます。このオピオイドは例えば母子間においては絆の形成にも役立つことが知られています。遊びを介してオピオイドが分泌され、遊びの相手との親和的な関係性が深まり、さらにはもっと遊びたい、という快情動が発達するのです。つまり、イヌと遊ぶことは、イヌと飼い主の間の愛着を促進することになります。このようなイヌの行動のネオテニー化は、遊びに限らず、大人になっても見知らぬものへの興味や探索心、学習能力や友好な態度、寛容性など、まさにイヌの特徴とも言えるでしょう。

イヌとヒトを絆ぐ

空っぽの容器とおやつ入りの容器を並べ、おやつが入っている方を人が指差して教えると、犬はその意味をすぐに理解するが、チンパンジーは、なかなか理解できない。

 これまでの認知心理学の領域では、霊長類が特別に高い社会認知能力を持つと考えられてきました。たとえば共同注意という能力は、仲間と同じ物をみて捕らえる、互いの意図を理解するなどに関わるもので、高い社会的知性が必要になります。
 イヌにおけるヒトの指差しに従って行動する能力を調べ、チンパンジーと比較したところ、チンパンジーよりも優れており、またオオカミでもできない、イヌに特別な能力であることがわかったのです。ヒトとイヌは目と目で絆がり、お互いの意図が理解できるよう、収束進化したものかもしれません。

視線を交わすことで絆が形成される。

 さらにヒトとイヌが視線を介してコミュニケーションを上手に取ることで、絆形成に関わるホルモン、オキシトシンが分泌されることもわかってきました。ヒトとイヌが共に進化することで、視線が絆がり、ココロも絆がったのかもしれません。イヌの目をみると、つい吸い込まれる気分になるのは本当かと思う日々です。