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信頼される動物病院へ~顧客心理を知ってご家族の立場に立つ(3)~

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信頼される動物病院へ~顧客心理を知ってご家族の立場に立つ(3)~

『ベッツワンプレス 2013秋号(Vol.36)』 掲載分

信頼される動物病院へ~顧客心理を知ってご家族の立場に立つ(3)~
株式会社マンズ・リソース 代表取締役 星野 惠子

前号まで、誰でもが利用者・患者様・顧客になったときに感じる「顧客心理」について取り上げて来ておりますが、今回はその三回目です。顧客心理は前回までに、(1)歓迎期待の心理 (2)独占したい心理 (3)公平に扱って欲しい心理 (4)自尊の心理・恥をかきたくない心理についてお話ししてきましたが、今回は (5)真似をしたい心理 (6)自分本位の心理 (7)損をしたくない心理について、みなさんとご一緒に考えていきたいと思います。

(5) 真似をしたい心理

これはすぐにピンと来られるかもしれませんね。「○○さんのお家では、どんなフードを食べさせているの?」「△△さんのところは、病院どこに行っているの?」などなどと聞きたくなり、治療の前例なども知りたくなって、「皆さん、どうされてますか?」と聞かれるのも同じかもしれません。他者がどのようなものを選び、どのような病院に行き、どのような躾け方をしているかなど、真似とはいかなくても、聞いてみたい、同じようにしてみたいと思う気持ちはどんな場面、どんなことにも起こります。これがいわゆる「口(くち)コミ」効果として波及する元になります。良くも悪くも、人の体験は広がるのが思ったよりも早いもので、今はインターネットを通して、もっと早く多くの情報が流れることはご存知の通りです。

ここでは、そのような心の裏にあるご家族の「不安」を理解することが重要となります。

自分だけでは判断できない、だから皆がどうしているかを知りたいわけですから、そのような不安を理解して、あくまでも例ですが、ということで、説明の事例を用意しておくのもひとつの方法です。それも出来れば複数の選択肢を考えられるように用意しておくと、こちらからの「指示」にはならないので、無理は起こらないでしょう。

(6) 自分本位の心理

全ての顧客心理はここに集約されると言ってもいいでしょう。人は誰でも自分本位なものです。近頃は自分本位が過ぎて、いわゆる「クレーマー」と呼ばれるような過剰要求も見られるので、対処がどんどん難しくなっていることも事実です。それらに関しては、また別の対応方法が必要になります。ただ、人は本来自分本位なものだという理解も必要です。言い換えると、人は自分のことで必死になることもある、ということです。つまり、自分の家族動物たちのことで必死になると、それしか目に入らなくなるので、その気持ちに共感的な態度で接することが重要になります。(要望を全て叶えることとは別です。)

例えば、診療終了時刻の5分前に「診察して欲しい。今から行くけれど20分くらいかかると思う」と電話があって、院長が症状を聞いた上での判断で「救急に行ってもらって下さい」と指示を出された場合、どのように断りますか? 家族は必死です。我が家の大切な子(動物)を早く、いつものかかりつけの先生に診てもらわねばと、それしか考えていません。その場合、ただ結果を伝えるにしても、口調が事務的だと怒りを生みます。自分がもしも同じ立場ならどう思うか?その家族だったらどんな気持か?それらを想像して、「申し訳ございません」という姿勢や、言葉の繰り返し、話し方の速度やトーン、共感の表情をどのように声に乗せて行ったらいいでしょう?研修でそのような場面を練習することも多いのですが、ついつい「もう・・本当に自分勝手だなぁ」という気持ちが微妙に表現の仕方に出るため、患者役の方は相手にそれが伝わることも実感できることが多いものです。そう、人は本来自分本位なものですから、その立場に立たないとピンとこないものですね。「自分本位になりがちな患者様の立場に一度立ってみる」ということ。そういった場面で、接遇の力が試されます。

星野先生による、動物病院スタッフ様対象の接遇スキルアップ講座(大阪)の様子。

(7) 損をしたくない心理

この心理は、支払った対価に対して、それ相応かそれ以上の結果が欲しいというものです。 例えば、同じ病院なら、○○先生に診て欲しい、○○看護師さんに担当して欲しい、入院なら、静かな部屋に入れて欲しい、しつけ教室などなら、回数・費用の点で融通を効かして欲しい、などなどです。これらは難しい点も多いでしょうが、システム的に改善できることは少しあるかもしれません。

また、病院のハード面も重要でしょう。便利がいい、最新の設備がある、衛生的である、快適性が高い、などの顧客側の要望に対して、スタッフとしてできることは清掃や環境整備です。中でも清掃は係の人がいるからしない、という方もあるかもしれませんが、係の人がしていても、できる清掃・整理整頓はあります。パンフレットが乱れていませんか?置き去りにされた忘れものの管理は衛生的ですか?カルテの棚は整然として綺麗に見えますか?問診票の台やペン、紙は整っていますか?観葉植物に枯れ葉や埃はたまっていませんか?古くなった貼り紙やポスターの端はほころんでいませんか?飾っている人形やオブジェは古くなっていませんか? 自分たちには見えなくなっているものも多いでしょう。人は毎日の小さな変化には気づきにくいものです。誰か、第三者に時々チェックしてもらうのも一つの案です。

そして最後に人的なものが、やはり重大なポイントになります。スタッフの応対の質においても、同じ応対をしてくれるなら、感じのいい人、処理が正確で早い人がいいと思います。つまり、質の高い仕事のできるスタッフが揃った病院を選びます。例えば、入院しているときに優しく対応してくれるだろうか? 精算はちゃんとされているか?お薬は間違えずに早く作ってくれるだろうか?といった不安や要望を持っています。それらを解消するのが、ご自身の自己成長の姿勢と、毎日の接し方です。電話の応対の仕方や説明の仕方、金銭の扱い方、挨拶、表情、制服の着こなし、言葉遣い、キビキビした動作など、そういったところでも総合的に評価されるのが、「損をしたくない心理」の働くポイントの一つでもあります。

さて、ここまで「顧客心理」を中心に考えてきましたが、いかがでしたでしょうか?

これらの心理を理解して、相手の立場に立った対応に役立てて頂ければ幸いです。

皆様のお力が心おきなく発揮され、たくさんの患者様から信頼される病院になりますように。

お元気でお過ごしください。

著者紹介

星野 惠子
星野 惠子
● 株式会社マンズ・リソース 代表取締役
● 元日本航空国際線客室乗務員 ● 元JALアカデミー接遇インストラクター
● 日本ベビーコーチング協会理事 ● KMC認定心理カウンセラー
これまで病院・医療専門学校・福祉施設・動物病院を含め、600団体以上において接遇研修・心理セミナーを担当。
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